君のところへあと少し。

15

「奏、オレらのことはほっとけよ。
日和ちゃんの事だけ考えてやれ。」


バスタオルで身体を拭いたナリがハルの腕をグイと引き、自分の側に寄せる。

「オレらは行かないからさ。」

「へえ、ちゃんと言ったのか。」

「ほっとけよ。じゃあな。」


何やら男同士の会話を済ませると、ナリはハルを店に誘導する。


「あ、じゃあね、ヒヨちゃん!」

振り向きざまに手を降ると、ナリの身体の向こうで日和が手を降るのが見えた。


「着替えたいんだけどさ、場所ある?」

店に入るとナリがいきなり聞いてきた。

「あ、2階に部屋があるから、そこで良ければ。」

2階に上がる階段を指差し教えると、サンキュ、と言いながら上がって行った。


ドキドキしっぱなしだ。
目の前にナリのごつい、筋肉質な身体があって。
チビのハルは真っ直ぐ見ることすら出来ない状態。

(やだもう!欲求不満かっつーの!)

ひとり真っ赤になった顔を冷ます為に手でパタパタ扇いだ。



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