君のところへあと少し。
(その5)波留と和也

17

「あ!ごめん!他意はないの、ちょっとあの、その」


支離滅裂なハルの言葉を聞いて、ナリはプッと吹き出した。


「なんだよ、それ。意味わかんねー。」

頭をぽんぽんと叩かれ、我に返る。

「それよか、祭り。行かねーんだろ?オレ腹減ったんだけどさ。たまには奢るからメシ食いに行かねぇ?」

「え?おごり⁈行く行くー。」


目の前にエサがぶら下げられたら食いつきます、私。

「支度しろよ。」

優しく笑うナリの表情に心臓鷲掴みされてしまう。

「あ、うん。ちょっと時間ちょうだいね。」

長時間髪を結っていたら頭が痛くなるので、おろそう。
メイクは仕方ないとして…服も仕方ないか。

ウキウキしていた心が密かに撃沈した。



< 17 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop