君のところへあと少し。
(その7)波留と和也

25

ふいっと顔を背けられて、まともにハルの顔が見えない。

さっきまで、はにかんで笑ってたあの表情がもう一度見たい。


「ハル…?」


「び、、、っくりしただけだから。
いきなりだったし!あ、みんな何処かに行くとこだったんじゃない?
ナリも一緒に行った方がいいんじゃないの?」


一気に喋ると黙る。

表情が見えないだけに苛立つ。

「ハル、こっちを向け。」

立ち上がり、ハルの腕を掴み引き上げるように立たせる。


立っても自分の胸元しかないハルの表情は見れない。


身体を半分折る様にして覗き込み、ようやくハルの表情を見る事が出来た。


今にも泣きそうな…傷付いた顔。

「ごめんな、ハル。オレが守ってやればよかったのに…嫌だったよな。」


首を横に振ることしかできなかった。


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