君のところへあと少し。

27

「いらっしゃいませ!
お二人様ですね、窓際のお席が見晴らしがいいですよ、いかがですか?」



翌日は日曜日。


忙しい日なので、あのあと直ぐにスイーツ作りに時間を費やした。

何かに集中していれば、何も考えずに済むから助かった。

昼過ぎ、少し客足が途絶えたその時、嬉しくない来客。


「やあ。」


右手を上げ颯爽と店に入ってきたのは、ナリが「課長」と呼んだ男性だった。

カウンターに座るとアイスコーヒーを注文。


肘をつき、手を組み、こちらをじっと見ているので仕事がやりにくい。


「ハルちゃん、で、いいのかな。俺は三浦の上司で河内。河内 拓哉(かわち たくや)だよ。よろしくねー。」


握手を求められたが無視した。

迂闊に手なんかにぎれないってーの。

「あー、印象悪かったからなぁ。ごめんね、昨日は。デートだったんだよね?部下がひどい事言って申し訳なかった。」


再び立ち上がった河内は深々と頭をさげた。


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