君のところへあと少し。

28

「俺ね、何回かここにきたことがあるんだよ。 」


ゴクリ、とアイスコーヒーを飲む時に動く喉仏を眺める。


「三浦がさ、ハルちゃんのこと話してるの聞いて興味があってさ。会いにきたらこんな可愛い子だし、俺が君を好きになっちゃってたんだー。」


カウンター越しに手を握られた。


瞬間、引っ込めようとしたが力でかなわない。

「三浦やめて、俺にしない?泣かせたりしないよ。たくさん愛してあげるし。」


優しい微笑みでとんでもないことをサラッと言う。

「慣れてるんですね、口説くの。」

「まぁね。でも元カノとか出て来たりしないよ?キッチリしてるからさ。」

ニヤリ。


なんだか怪しい、この人。

いちいち仕草がエロい。

「私、そういうの嫌いなので、お断りします。」


目を見ず答える。


「三浦がいいの?」

「ナリがどうこうっていうわけじゃないです。」

「じゃあ、考えといて。」


お金を置くとスタスタと出て行ってしまった。


何なの⁈あの人。

癖ありすぎよー!

とにかく、一難去ったのでホッと胸を撫で下ろした。



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