君のところへあと少し。

31

「気分どうだ?どっか痛いとかないか?」

ふわ、と頭を撫でられる。


「あ!お店!」

我に返り、店の事が心配になった。
どうしよう…。

「ちょうど、お客さんがいなかったらしくて、奏が閉めてくれたよ。
入口に貼紙してきたって。
気分悪くねぇか?何か飲むか?」

店の心配がなくなったら、今度はここはどこなんだろう、と不安になってくる。


「オレんちだよ。奏が運んでくれた。ちょっと待ってろ。」


誰もいなくなったこの場所…ナリのうち?じゃあ、ナリのベッド?

そこまで考えたらボッと顔が赤くなった。


ナリのベッドで寝てるの⁉私…!


ドキドキが止まらない。

暫くして、ナリと共に奏とヒヨちゃんがやってきた。

奏は青ざめた顔をしている。


「ハル、大丈夫か?」

問われ、小さく大丈夫、と答える。

「奏、ごめんね。奏の顔見たら気が緩んじゃったみたい…どこも何ともないから。」


「話、ナリから聞いた。ほんっとお前らってバカ‼」

いつもふわりふわり、ゆるーい感じの奏が怒鳴った。


それだけでハルはどれだけ心配をかけてしまったのかを思い知る。



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