君のところへあと少し。

36

大事をとって、翌日も店を休む事にした。

実際に経営をしている叔母に電話すると、無理が祟ったのよ、ゆっくり夏季休暇をとりなさい、と1週間休む様に言われた。

店の窓を開け換気しながら掃除する、

しばらく休んでなかったから、ちょっとまとめて休むのもいいのかもしれない。

その間に新しいメニュー考えたりしよ。

イスをテーブルにひっくり返して置き、床をモップ掛けする。

カランコロン♪

あ、休業の貼紙してなかったっけ?

誰かが店内に入ってくる音がしたので振り向くと。

「やあ、ハルちゃん。」


ニヤリと相変わらずエロい笑みの河内さん。

「スミマセン、しばらくお店休むんです。だから」
「だから?俺は昨日の返事貰いに来たんだよ。」


間髪入れずに質問返し。

やっぱり曲者だ、このひと。

「河内さんとはお付き合いできません。以上です。」


ぺこり、と頭を下げモップ掛けを再開する。

「三浦よりお得なんだけどなぁ。ま、仕方ないか。
じゃあ、ひとつだけ助言してあげようか
。山崎、まだ諦めてないみたいだから、気を付けてね。」

手をヒラヒラと振りながら店を出て行く後ろ姿をぼんやり眺める。

(気を付けてねって…具体的に何をどの様に?)

謎なひとだ。

掃除を済ませる頃には昼になっていた。

アパートに帰ってのんびりしよう。

あ、その前にヒヨちゃんにメールしなきゃ。


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