君のところへあと少し。

3

「可愛いと思うから言うんだ、嘘じゃないだろ。」

「まぁまぁ、ヒヨちゃんびっくりしちゃうから。なに?奏はヒヨちゃんのこと、気になってたの?」


ハルがニッコニコな顔で聞いてくる。
なんか妙な反応だなぁ…。

「よかったじゃん、ヒヨちゃん。両思い決定だね〜。」


ハル爆弾投下。

こいつは何にも考え無しにモノを言うから困るんだ。

でも、便乗。

「じゃあ、日和は今日から俺の彼女ね!」

「⁉」

こんなチャンスは逃さず使う。

手をガシッと握るとバイオリン片手に日和を連れ出す。

「ハル!ご褒美はココアじゃなくて、日和ちゃん貰っていくね!」

「はぁーい♪」

「え⁈ハルちゃん⁈」


ヒラヒラと手を振るハル。
なぁんだ、ハルが仕組んでたのか。
じゃ、遠慮なくもらおう。

「じゃ、うち来る?あ、仕事中かぁ…どうする?日和。」

スタスタ歩いてたら、手を振りほどかれ立ち止まった日和は、怒った顔をしていた。

「日和?」

「奏くんは慣れてるかもしれないけど…あたしは慣れてないし、彼女とか彼氏とかこんな簡単に決めていいものじゃないわ。」


簡単ねぇ。


結構どう動こうかってここのとこ、様子を伺ってたんだけどね。


こう見えて用意周到派なんだよ、俺。

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