君のところへあと少し。

12

後日。

日を改めて、ハルとナリに話をした。

奏は居なかったけれど、2人にちゃんと説明出来たと思う。

ハルはショックを受けていた。
奏がバイオリンを捨てた事に。
だけど、その選択が間違ってないと思うから、悲しくてやりきれなかった。

「ヒヨちゃん、大丈夫?」
「うん、あたしは大丈夫。奏に比べたら。親には話して了承得たから、週末マンションに引っ越す予定だよ。」

ニコッと笑う日和が心配でならない。

「ヒヨちゃん、仕事は?」
「まだわかんない。向こうのお義父さんが許してくれるなら、続けたい。
あたし、ハルちゃんのお店大好きなんだもん。」
「日和、何かあったらハルを頼れ。オレ達が力になるから。」

ナリの言葉にただ頷く。

「いつでも連絡ちょうだいね。」


帰り際、ハルからそう言われて不意に笑えた。

「もう、ハルちゃんたら。今生の別れみたいに。今までと変わらないんだから、ハルちゃんもマンションに遊びにきてよね!」


それもそうか。


と、ハルは恥ずかしくなる。
「なんかもう会えなくなると思っちゃった。」
「そんなことないよ?ハルちゃんとは色々もっと話したいもん。お互いの近況とか話しようね!」
「どんな話してんだよ、お前ら…」

それはもう、ナリには聞かせられない話…とか。
女の子の方が結構突っ込んだコイバナするんだよ、とはハルから聞いたけど。

まさかな。

まさか…

「あー、そりゃもうさ、どんなエッチしたかとか?どういう体位が好みだとか?」

日和はわざと際どい話をした。
笑えるように。

「や、お前!そんな話とかすんのかよ⁉」

ナリは赤くなり、ハルは逃げ惑う。

何も変わらないいつもの光景に奏がいないのが不思議だった。



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