東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
路地の突き当りに逃げ込んだはずの男性の姿がない。



「くそっ。どこだ!?」



「軍人さん…上だよ…上」



「上?」


上を見上げると男性が俺に向かってピストルを発砲した。


右肩に銃弾を受けて、建物の壁に衝撃で撥ね飛ばされた。無様に手元からピストルが離れ、地面に落ちてしまった。



「くっ…」


弾は右肩を貫通したが、血の飛沫が壁を汚す。




俺は痛みを堪えて、軍刀を鞘から抜いた。



「なかなかしぶといね。立っていられるんだ…軍人さん」


「貴様っ!!」

俺は男性の撃った2発目の弾頭をかわして…ヤツに近づいた。


「!!?」


俺は抜き胴で斬りかかったが…また、ヤツは姿を消した。








< 102 / 300 >

この作品をシェア

pagetop