東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「わが身を護る盾となれ!!急々如律令!!」



「!?」


紫紺の制服を着た男性二人は現れた。


一人が両手に手を構え、もう一人が符をかざす。




「…紅鬼…見つけたぞ!!」


「ふん。俺はヴァンパイアだ。いい加減…その紅鬼は止めてくれ…」



「大丈夫か?」



俺は自分の血の池に横たわっていた。


この世とあの世を往来し、今にも…あの世に足が引きずり込まれそうだった。




「椿…」



俺は彼女の名前を呟く。



人は自分の死に直面した時…いちばん…愛しい人の名前を呼ぶらしい。



俺にとって椿がいちばん、愛しい人なんだーーー・・・


遠のく意識の中、俺の自分の誠の心を自覚した。

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