東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
御堂中尉は私を敵兵だと罵る。


端正な顔が意地悪く歪む。



このような下賤な男を伴侶とは認めたくない。
同じ部屋で空気を吸うのも嫌。



私は部屋を出ようと彼の脇を足早に通って逃走しようと試みる。



彼は革の軍靴のつま先で私のドレスを踏んで、逃走を阻んだ。



そのまま、腰に両手を回されて、彼の腕の中へと乱暴に引き寄せられた。



「細い腰だ…貴様…本当に俺の子を産めるのか?」



「私は…」


彼の言葉に敏感に反応して、体が熱に侵され始める。












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