東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
燕尾服を纏う殿方の中。


軍服の正装姿の御堂少佐の姿は目立った。




「私は貴方を伴侶としては認めていません…」


「認めようと認めないが…ここに居る者全て…俺と貴様の結婚を認めておる」



「・・・」

私は悔しくて奥歯をギシッと強く噛み締めた。


「ダンスが始まるようだ。貴様…俺の相手をしろ」



軍人流の偉そうな口調も気に入らない。



オーケストラの生演奏が大広間に響き渡る。



燕尾服姿の殿方とドレスで着飾った婦人たちが踊り始めた。


主催である中尊寺家の令嬢の私が突っ立っていてはお父様の顔に泥を塗る。



私はぐっと自分の本心を隠して御堂中尉と向き合った。


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