東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…へぇ~っ…椿さんが妊娠ね…」



「…あぁ…御堂家の嫡子となる子かもしれない…」



「…大変な時代に…」



「んっ?」



「いや…こちらの話ですよ」



樋川の呟いた言葉は不穏な響きが鼓膜に残った。




ーーー大変な時代…



「お前の言う通り…大変かもしれないな…」



軍事国家となるかもしれぬ…この国に俺と椿の子供は生まれて来るんだ…




「…聞こえたのか…御堂少佐」








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