東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
俺は目の前のチェス盤に視線を落とした。



「…俺をこの世界に呼んだのは貴様か?」



「違う…」

「では…どうして俺は…貴様らの時代に…?」


「多分事故だな…でも…何の意味も持たず…お前が来たとは思えない…」


「・・・そもそも貴様は何故…俺の時代に来た?」



「俺は…『陰陽庁』の目論んだ…『怨霊部隊』の全貌が知りたくて…貴様の時代にトリップした」



「貴様はもう…俺の時代には戻らないのか?」




「俺の知りたい事は手に入れた…多分、戻らないな」



二人でチェスをしながら、言葉を交わした。



「…その怨霊部隊は実用化されたのか?」



「…『安倍家』も『小笠原家』も貴様と同じで拒否した。安倍任務長も小笠原大尉も最も戦闘の激しい戦地に送られて戦死。『陰陽庁』は赤星家の独裁となり…今の『陰陽庁』も赤星家が牛耳っている…俺は『陰陽庁』においての『赤星家』の独裁の阻止…勢力縮小の為…トリップ…おかげさまで俺の目的は達成した」


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