東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
彼女は俺を熱海の温泉に連れて行ってくれた。



「ここが94年後の熱海温泉か…」



「へぇ~っ…征史さんの時代にも熱海温泉はあったんだ・・・」



「俺たちの時代の熱海は新婚旅行先では最も人気のある場所。熱海行きの寝台列車の乗客は新婚さんばかりだ」



「列車で行くのか…」



「自動車で熱海まで行けるとは便利だな…」



彼女が予約した旅館に宿泊。




「…喜んで貰えて嬉しいわ…」



部屋に入るなり、彼女は眼鏡を取った。



俺は彼女が座卓の上に置いた色付き眼鏡を手に取った。





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