東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
二人で男湯、女湯と別々に温泉につかった。



「お待たせ…」



先に上がった俺は窓越しに熱海の海を眺める。



同じ浴衣姿の千愛さん。



少し濡れた髪から花の香りが漂ってくる。


「…どうしたの?」



「別に…いい湯だったな…」



「私もよ…」




「!?」



千愛さんはさりげなく俺の腕に腕を絡めて来た。



千愛さんの求めるのは海里であるが…海里は転生した俺自身。



千愛さんは椿であり…俺の中で彼女を拒む理由が無くなった。


< 225 / 300 >

この作品をシェア

pagetop