東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
* * *



屋敷に戻った俺は樋川と椎名に栗原中尉の言葉をそのまま伝えた。



「…栗原はそんな事を言ってるのか…」


「長丁場になりそうだな…」

椎名大佐は溜息をつき、盃の酒を煽る。


「…椎名…すまない…嫌なら…元の世界に帰してやるぞ」



「…別に…俺は銀龍帝様の命でここに居る…嫌とか…そんな個人的な感情で戻る気はない」



「…大戦後までまだ…14年ある…」



「・・・樋川は大戦後まで居るつもりだろ?」



「そのつもりで来た…」


「なら…俺も付き合う…」


「しかし…俺は終戦までに死んでしまうが…それでもいいのか?」


「…御堂少佐…」


「これだけ…御堂家には世話になりながら何もしてやれないのは申し訳ないな」


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