東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「私だって19歳…縁談話が来てもおかしくない歳よ。秋」



自分の身に降りかかるコトだと言うのに私は冷静に受け止めていた。

逆に戸惑う秋を諭した。


「…私だって…椿様のご結婚は心から祝福致しております。私は縁談の相手に驚いているのです!!」



尋常じゃない秋の慌てぶりは私の縁談相手にあるらしい。



「お相手の方はどなたなの?秋」



「士族出身の御堂家の嫡子・帝国陸軍中尉・御堂柾史(ミドウマサフミ)様です」


彼の父親は第一次世界大戦…日英同盟によって参戦した帝国陸軍を指揮した大将。今は陸軍大臣として政治の世界に身を置いている。

しかし、大戦後は世界全体が平和志向に。
そんなご時世となった今では軍人の立場は非常に弱くなった。

軍人の中にはその傾向に反対する輩も少なくない。














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