東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
私は秋と一緒に2階の自室へと上がった。



「…椿様…『婦人画報』の最新号を買って参りました!!」



「えっ?あ…今日…発売日だったのね…すっかり忘れていたわ…ありがとう」



「いえ…毎月…椿様は楽しみにしていらしゃるのに…お忘れになるなんて…どうしたんですか?やはりあの…御堂中尉殿のせいですか?」




「…悔しいけど…そうかもしれない」



私は秋に支度を手伝ってもらい、着替えを済ませる。



着替えを済ませた私は出窓の越しに走り去る自動車を見つめた。


心に不安の波が押し寄せて来る。



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