東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
傷が癒えても、左半身に痺れが残ったお父様は自室で療養していた。



「椿か…」


お父様はベットに上半身を起こして書物を読んでいた。



「お父様…私と元陸軍・御堂大将の嫡子の柾史様と縁談話は本当ですか?」


「…椿…お前の耳にも入ったのか…さては秋の仕業だな」


「…私は嫌ですっ!!お断り下さい…」


「…それは出来ぬ…椿」



「お父様!!?」

神経を高ぶらせた私を宥めようとお父様は言葉を紡ぐ。



「…柾史様との縁談は決まったコトだ。今更…覆せない」



「お父様を…」


「それ以上は口にしてはならぬ。椿…」


「お父様っ!?」


お父様は私の言葉に全く耳を貸さなかった。


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