東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
二人を見送り、定子さんと応接間に入った。
「…私の話とは?」
「…貴方は華族出身のご令嬢だけど…これからが御堂家の嫁です。中尊寺家とは違います。御堂家の色に染まって頂きます」
「それは重々承知しています」
「…では…早速…ここの窓拭きをして頂こうかしら?」
「えっ?」
定子さんは硝子の窓を指さした。
「…私が窓拭きですか?」
「…嫁なんて使用人同然よ…それに貴方は持参金なしに嫁入りした没落華族の令嬢でしょ?」
「・・・」
定子さんに辛辣な言葉を浴びせられ、涙が溢れそうになった。
「…私の話とは?」
「…貴方は華族出身のご令嬢だけど…これからが御堂家の嫁です。中尊寺家とは違います。御堂家の色に染まって頂きます」
「それは重々承知しています」
「…では…早速…ここの窓拭きをして頂こうかしら?」
「えっ?」
定子さんは硝子の窓を指さした。
「…私が窓拭きですか?」
「…嫁なんて使用人同然よ…それに貴方は持参金なしに嫁入りした没落華族の令嬢でしょ?」
「・・・」
定子さんに辛辣な言葉を浴びせられ、涙が溢れそうになった。