上々、花日和
「車で走る東京は久しぶり」
どうしてこう呟いたのかはわからないけど、こんなふうに夜の東京を見るのは久しぶりだった。
「いつの頃からか…閉ざしてしまっちゃったんですよね」
「うん…」
私はあらかじめ用意しておいた台詞を狙ったように放つとかそういうんじゃなくて…心が言いたいことをブレーキがない状態で話していた。
「本当は佑香みたいに可愛らしくしたり、甘えたりできたらいいのに」
「うん」
「でも、いつの間にかこう頑なに扉を閉ざしちゃったんです」
「大丈夫」
「…って…なんでこんなことペラペラと言ってるんだろ…」
「大丈夫だよ」
穏やかな永富さんの声、優しい。
「そこらへん下手くそなんです、26にもなって」
ふわっと永富さんの手が私の髪に触れ、肩を伝い手を繋ぐ。
「大丈夫だよ。俺はハナちゃんのそういう部分、わかるから」