SS男子の落とし方
咲也君の質問に困っていると、

「まぁ、分かってたけどな。」

とポンポンと頭を叩かれた。


「お馬鹿さんの芽依には、分かりやすいのじゃねぇと伝わんねぇよな。」


「だったら...ちゃんと言ってよ。」


きっと赤くなっている顔を隠したくて、下を向いて咲也君の服の裾を引っ張った。


「芽依、こっち向いて?」

やけに優しい声が私を迷わす。


ドクドクと脈打つ音が全身に鳴り響いて、呼吸すら忘れて上を向いた。


「ふふっ。
芽依の方が緊張してる。」

少し笑ったかと思うと、今度は真剣な瞳が私を捕まえる。
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