嘘と微熱と甘い罠
え…?
我に返ると、目の前にあったのは相良の顔。
うん、それは変わらない。
変わったのは感覚。
触れていた額は離され、頬にムギュッと軽い痛みが走る。
「いっ…ひょっひょ!!はにふんのひょ!!」
「勝手にいなくなるだけじゃなくて、電話もメールも反応なしってなに?ん?」
私の頬を片手で掴んでいる相良の眉間には。
深く、深ーくシワが寄っていた。
「いっ!!」
力を込められた頬に痛みが走る。
「お前、俺がどんだけ心配したかわかってる?」
「ひょ…っ!!はなひへ…っ!!」
痛い、痛いっ!!
増してくる痛みに。
頬を掴む相良の手を叩いた。