唇が、覚えてるから


「あ。で、さっきのどういうこと?」

「なんでもねえ。クククッ……」


理解できない私を置いて、祐樹は歩き出す。

笑ったまま。


「あっ、ちょっと待ってよー!」


そう言った私の目の前には海が大きく開けて……


「わー!この海だよこの海!私がいつも遊んでたの!」


祐樹を追い越して、砂浜まで駆けて行った。


たまに実家へ帰ってきても海へ来る暇なんてなくて、2年ぶりに来た海。

人の手が加えられてない天然の白い砂浜は、以前と変わらず私を優しく出迎えてくれた。


「気持ちいいー」


ううーん、と思いっきり伸びをする。

< 146 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop