唇が、覚えてるから
「あ。で、さっきのどういうこと?」
「なんでもねえ。クククッ……」
理解できない私を置いて、祐樹は歩き出す。
笑ったまま。
「あっ、ちょっと待ってよー!」
そう言った私の目の前には海が大きく開けて……
「わー!この海だよこの海!私がいつも遊んでたの!」
祐樹を追い越して、砂浜まで駆けて行った。
たまに実家へ帰ってきても海へ来る暇なんてなくて、2年ぶりに来た海。
人の手が加えられてない天然の白い砂浜は、以前と変わらず私を優しく出迎えてくれた。
「気持ちいいー」
ううーん、と思いっきり伸びをする。