唇が、覚えてるから

「ふふっ……」


……?

奇妙な笑い声に、そっと目を開けると。

そこには今にも吹き出しそうな祐樹の顔があった。


えっ!?
なに!?


「そんな怯えてる琴羽に、手出せるわけないじゃん」


祐樹はそう言うと、ゴロンと私の右側に大の字になった。


「あー、一日歩いてたから足がだりー」


そして、足をバタバタさせた。


「……」


私は猛反省だ。


でも。

こんなこと言えた立場じゃないけど、祐樹が簡単に女の子に手を出すような人じゃなくて……良かった……。




「もう寝ちゃった?」

「いや」

「じゃあ聞いてもいい?」

「ダメって言っても聞くんだろ」


電気を消され、真っ暗闇の中。
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