唇が、覚えてるから

「祐樹はまだ死んでないよ!!ベッドの上でまだ必死で闘ってるんだよ!ちゃんと心臓も動いてる!こうやって!」


祐樹の右手をつかみ、胸元へあてた。


「私と同じリズムで動いてたっ……」


左手は、私の胸へ……。

そこへ重ねた私の手には、しっかり感じるふたつの鼓動。

それは何一つ変わらない同じ鼓動。

生きている、証。


「祐樹は、まだ死んでなんかないっ!」


ポタッ……

祐樹の腕に私の涙が落ちた。


「医者になろうとしていた祐樹が、命を諦めるなんておかしいよ!」


そんなの定めなんかじゃない。


「生きたいって……強く思って……!!」


医者になろうとしていた祐樹なら、知ってるでしょ。

命の強さを。


「諦めないでっ……!!!」


渾身の想いをこめて、力いっぱい叫ぶ。
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