唇が、覚えてるから

小指と小指が絡まる。

空には満天の星。

静かな空気に、時おり舞う風は柔らかい。


この世界に、私と祐樹しかいないんじゃないかと思える広い空の下で。



そっと

2人の唇が重なった──……




濡れた髪。

つなぎ合った手。

優しいキス。

照れた顔。


全部全部、覚えているからね。

ずっとずっと忘れないよ。


今日のキスは、いつかのキスより悲しくて。

でもやっぱり温かくて。



お願いだから。

誰か。

このまま時を止めて下さい───…
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