唇が、覚えてるから
ふぅ……。
笑顔と明るさがモットーの私も、さすがに最近は落ち気味だ。
ベンチの背にもたれて大きく息を吐いたとき。
「どーした?」
「つめたっ!」
缶ジュースを頬につけられて顔をあげると。
「祐樹っ!?」
それはしばらく会っていなかった、祐樹だった。
忘れていたわけじゃないって言ったら言い訳だけど、本当に考える暇もないくらい忙しかった。
その祐樹が目の前に現れ、私は心底驚いた。
それに……。
出来れば落ち込んでる顔、祐樹には見られたくないのに。
気まずくてうつむいた私に、祐樹はサイダーを手渡した。
「ほら飲めよ」
ひんやりと冷たい感触がてのひらに伝わる。
そして。
「……しょ……っと」
私の隣に腰を下ろした。