ルーツ
築20年の中古マンションに2人は帰って来た。
走りこむように家に入る2人。


徹は家に帰ると、汗をタオルでごしごしと乱暴に拭き
ペットボトルのお茶を一気飲みする。


不安のおさまらない裕未は、青白い顔で
徹をずっと見つめている。



少し落ち着いた徹は
部屋をぐるりと見まわす。


そしておもむろに


本棚の本を引きずり出し
ソファーをひっくり返し
家具という家具のドアをあけ中をのぞく。


険しい顔をして徹は家捜しを始めた。



「なぜだ、何であいつらはいつも僕の邪魔をするんだ。
僕は2人で静かに暮らしたいだけなのに…くそ!」



徹はひっくり返したソファーをける。



「この部屋の中にも侵入したのか?奴らは?
どうせカメラでもあるにきまっている!

いったい人の暮らしをのぞいて何が面白いんだ?



交渉だと?笑わせるな!



切り札を握っているのは僕だ!」
< 33 / 377 >

この作品をシェア

pagetop