お父さんの彼女なんかに取られてたまるかっ!!(仮)
「それにしても親父さん……ホントに俺、この場にいていいんすか? 江夏家のデリケートな事なのに……」
カツが、今度はパスタをすすりながら訊いた。
「全然いいよ。稼月君なら信頼出来るし。それに……」
「……お父さん?」
お父さんってば、急にニヤニヤしだして……何?
「稼月君は……将来咲華と結婚して、俺の息子になるかもしれないからなー。
未来の奥さんにも、今のうちに紹介しておかないと」
「ゴホッ!!」
わ! カツがむせた!
急いで背中を擦(さす)ってあげた。
「カツ、大丈夫!? ちょっと、お父さん! カツに変なことを言わないでよ!」
最近のお父さん、色ボケしすぎだし! 私とカツが結婚だなんて……かなりイカれてるって!
「カツが私なんかと、結婚するワケないじゃん!」
「そうか? アハハ」
父、悪気ゼロ。
「もう、お父さ~ん……」
なんか悲しくなってきたよ~。私は、いつまでもお父さんと二人でいたいのに~。
お父さんだって、お母さんが亡くなった時――
〈ずっと二人で、一緒にいような……咲華〉
って、涙ながらに言ってくれたのに……今じゃこれだよ。
早くお父さんの目を覚まさせないと。それにはやっぱり、私が再婚を阻止せねば!
ちなみにカツは、顔を真っ赤にしてまだむせていた。
カツ、むせてる場合じゃないって。アンタだけが頼りなんだからさぁ……。