YUKI˚*








夢を見た





辺りは真っ暗で



行く当てもなくて





だけど目の前に



須嶋くんがいた





小さかった



須嶋くんの子供のとき?







ただ



須嶋くんは






泣いてた







目を覚ましまとき



あたしも泣いてた









「須嶋くん」



「…………」



「須嶋くん!」



「……あっ、わり…何?」





せっかくのデートなのに



今日は須嶋くんがなんだかうわの空だった





昨日の夢もあって


なんだかあたしは心配になってしまう





「大丈夫?」



「え?大丈夫だよ?」




そうやってニカッと笑う



このイケメンキラーめ





「…そーいえば、この前川村くんと一緒に帰って何話したの?」



「………」



今、須嶋くんはちゃんとあたしの目を見てた


聞いてなかったわけないはず




ふと



夢の中の須嶋くんの泣き顔が思い浮かんで



「……須嶋くん?」


あたしは須嶋くんの顔を覗き込んだ



その顔は





「ゆきちゃんがかわいーだろーって話、してたんだよ」



いぢわるの顔だった




「真剣に話してくれないならいーもーん!」


「いや、マジだから!」



もうっ!肝心なときはいつもはぐらかすんだから





でも、須嶋くんが笑ってるから



なんかホッとした





それでもやっぱり今日の須嶋くんは



なんか……





あたしはどうして



あんな夢見たんだろう





どうして須嶋くんは泣いてたの?



どうしてあたしは





泣いたの?







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