小形寄生物
ただ――携帯は目を覚ました。携帯の寝起きは不機嫌であることを俺は知った。
「起こすな」
ごみ捨て場で見つけた携帯は嘯(うそぶ)いた。
俺は唖然と手に持っている携帯を眺めてしまった。
「じろじろ見るな」
携帯というものはこんなにも短気なものだとは知らなかった。
携帯以外の機械に触れるとその機械の役割を理解し役目を果し、携帯に触れると自由に喋ると知ってから約半年が経って俺は中学三年生になった。
親に言われて中学三年生になる一週間ほど前に俺専用の携帯を買った。
勿論その携帯も喋る。だが、話は出来なかった。俺が質問しても携帯は理解していないのか、言葉がわからないのか、会話に成り立たない回答をした。だから、俺は会話が成り立ったことに驚いた。
何故、携帯だけ喋るのか考えてみた。あらゆる観点から考えていくと、携帯には目があり喋ることから、携帯は機械ではなく生き物だと俺は気付いた。生き物といっても、犬や猫といった動物ではなく『小形寄生物』という『生物』であるが。
『小形寄生物』とは俺が勝手に付けた名前だ。小さくて寄生する生物。それが『小形寄生物』という肩書を持つ『携帯電話』なのだ。
人間を携帯に依存させるのが『小形寄生物』である。『携帯電話』は生き物であるから俺が触れても機械のように直らなかったのだ。
「起こすな」
ごみ捨て場で見つけた携帯は嘯(うそぶ)いた。
俺は唖然と手に持っている携帯を眺めてしまった。
「じろじろ見るな」
携帯というものはこんなにも短気なものだとは知らなかった。
携帯以外の機械に触れるとその機械の役割を理解し役目を果し、携帯に触れると自由に喋ると知ってから約半年が経って俺は中学三年生になった。
親に言われて中学三年生になる一週間ほど前に俺専用の携帯を買った。
勿論その携帯も喋る。だが、話は出来なかった。俺が質問しても携帯は理解していないのか、言葉がわからないのか、会話に成り立たない回答をした。だから、俺は会話が成り立ったことに驚いた。
何故、携帯だけ喋るのか考えてみた。あらゆる観点から考えていくと、携帯には目があり喋ることから、携帯は機械ではなく生き物だと俺は気付いた。生き物といっても、犬や猫といった動物ではなく『小形寄生物』という『生物』であるが。
『小形寄生物』とは俺が勝手に付けた名前だ。小さくて寄生する生物。それが『小形寄生物』という肩書を持つ『携帯電話』なのだ。
人間を携帯に依存させるのが『小形寄生物』である。『携帯電話』は生き物であるから俺が触れても機械のように直らなかったのだ。