Only One──君は特別な人──
ここで「さよなら」──と、告げられたらどんなに楽だろう。

でもそんなことが出来るわけでもなく……。


「──分かった。どこに行きたいか考えておくね」


あたしはあっさり、竜くんを許してしまうんだ。

なんて浅はかなんだろう。

バカな女にも程があるよ。


「じゃあ、年明けたら計画立てような」

「うん。約束だよ。守れなかったらハリセンボン飲ますだから、ね」

「約束は守るから」


こんな話をした後、電話を切ると、涙が溢れてきた。



「うぅっ」


膝を抱えてうずくまり泣いた。

竜くんのバカ! 楽しみにしてたのに!

< 10 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop