Only One──君は特別な人──
本当にお見舞いに来るなんて…。

かおりちゃんは、貴広の部屋の玄関のドアの前に立っていた。

ちょうどチャイムを鳴らそうとしているところだった。

「かおりちゃん!」

すかさず声をかけた。

「あら、もえちゃん」

「どうして、ここにいるの?」

「どうしてって大野さんのお見舞いよ。今日の朝聞こえなかった? 『お見舞いに行こうかなぁ』って」

かおりちゃんは意味深な笑みを浮かべ、言葉を続ける。

「あれはもえちゃんに向けて言ったのよ」

「…あたしに向けて?」

「もえちゃん、大野さんとつき合ってるんでしょ?」

「どうして知ってるの?」

「見たからよ」

あっさりとそんな返事が返ってくる。
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