Only One──君は特別な人──
「どこで見たの?」

「先週の土曜日。病院に2人で来てたでしょ? あたしもあの日体調悪くて病院に行ったから」

「…そう」

貴広の熱が下がらなくて、運転するのもしんどそうだったから、あたしが変わりに運転して病院に連れて行ったんだった。

同じ場所にかおりちゃんがいたなんて。全く気づかなかった。

「もえちゃん、大野さんが咳込むたんびに背中さすってあげてたよね」

「うん…」

「昨日はあまりのショックで会社休んだの」

「……」

「でも、あたしだって本気だもん。簡単にあきらめたくないの」

かおりちゃんは真剣な瞳をしていた。思わず視線を外してしまった。

「──それにもえちゃん二股かけてるみたいだから、余計に大野さんを奪いたくなったのよね」

「二股?」

意外な発言に目を見開く。

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