Only One──君は特別な人──
確かに言われてみればそうだなって、かおりちゃんの言葉に納得してしまっていた。

大声でも出して竜くんを困らせれば良かったんだ。

だけど、あの時そこまで頭が回るハズもなくて…。

ただただ、竜くんの強引さに引き込まれていた。

「──要するにもえちゃんは尻軽女なのよ!」

かおりちゃんが強い口調でそう言い放った時、ガチャンと音がして玄関のドアが開いた。

「貴広」
「大野さん」

あたしとかおりちゃんは声をハモらせていた。

「外で何か話し声がすると思ったら、もえと神戸だったのか」

貴広は呆れたようにため息をついた。

「あたしお見舞いに来たんです!」

「そう。ありがとう。でも悪いけど帰ってもらえるかな?」

かおりちゃんの弾んだ声とは対照的に貴広の声色は冷たい。
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