あの日の恋を、もう一度
そうだ、あの日の私は、怖がってた。
もし、『お前なんか嫌いだ』って書かれてたらどうしよう。
『きっぱり忘れてるから心配しないで』とか。
私は、怖かったんだ。
勢いに任せて言ってしまったあの日を後悔していたから、尚更。
そんな言葉を聞いてしまったら、私はどうにかなってしまいそうで。
そんなこと言われるだけのことをしたのだから、当然だってわかってる。
もしもそんなことを言われたとしても、わかってる。
私のほうが、最低だって。
でも、どうしても。
あなたにだけは。
あなたにだけは、言われたくなかったから。
それはなぜ?
考えなくたって、わかる。
―――まだ好きだから。
そんなこと、わかってるんだよ。
ずっと、ずっと。
わかってることなんだよ。
でも、行動に移せないの。
怖いから、なんだよ。
「絢芽ちゃん」
「…ありがとう、ございます…」
手渡されたのは、先ほど私が持ってきたもの。
暖房の効いた部屋に置いてあったのか、ほのかに温かい。