あの日の恋を、もう一度
―――『絢芽へ』
私のことを知世ちゃんは『絢芽』とは呼ばない。
つまり、河合からということは明らかで。
―――なんで、知世ちゃんがその本の中に、彼が私宛の、出せなかった手紙を入れたのか。
そのすべては、
「…っ、あの!」
あの本の中に。
「あら、絢芽ちゃん?」
庭の手入れをしていた河合のお母さんに、私は挨拶も忘れ、
「さっきの本…っ、もう一度見せてもらえませんか…?!」
と、あわてて言う。
その姿に何かを察したのか、
「え…ああ、わかったわ。ちょっと待っててね」
河合のお母さんも急いでくれて。