あの日の恋を、もう一度
拝啓 絢芽へ
久しぶりと言ったほうがいいのだろうか。
この手紙を見ていると言うことは、覚悟を決めてくれたということだと思う。
絢芽は察しがいいから、もしかしたらいいことが書かれていないかもしれないって、読むことを恐れているだろうから、この本を受け取ってから当分先に読んでくれているのではないかと思う。
間違っていたらごめん。
俺は、高校に上がってから絢芽のいない教室、学校に退屈で仕方がない。
充実していないとは決して言えないが、絢芽がいないことで、あんなにも勉強して行きたかった高校なのに、こんなにもこの学校に通うことに対して、意味がないと思うようになるとは思わなかった。
絢芽が合格じゃなかったという現実が、受け入れられなくて俺に別れを告げた時。
俺もこの高校を蹴ればよかったと、そう思ったことも何度もあった。
なあ、絢芽。
俺たちの選択は間違っていなかったのだろうか。
何度か、絢芽の高校付近まで行ったこともある。
駅前で、絢芽を見かけたこともある。
でもそこには、あの頃の絢芽の姿はなかったように思える。
俺の思い違いかもしれない。
未練がましいということはわかってる。
けどもし、絢芽も俺とまだ同じ気持ちなら、もう一度始めないか?
もしも、間違っていたと思うのなら、この漫画を返しにきてくれ。
もしも間違っていないと思うのなら、この漫画は捨ててくれ。
最後に俺はまだ、落合 絢芽を愛しています。
敬具