あの日の恋を、もう一度




「この気持ちは、私と同じ。…私の場合は、プライドが許せなかったからって言うのもあるけれど、…こんな喜びを一緒に分かち合えない関係なんて、きっと河合をダメにするって、そう思ったから私はあの日、離れることを決意したの」



けれど、今は違う。
今は、私自身もこの学校に通えてよかったと。
そう思えるほどにまで、充実した学園生活を送っている。

だから、もう。



「だからこそ、過去のことはもう忘れようって思ったの」



過去のことは、水に流そう。
もう、苦しみから解き放たれてもいいんじゃないかって。

その私の言葉を聞いた知世ちゃんは、


「…どういう、こと…っ?それって、もう秀兄とは綺麗サッパリお別れってこと!?」

「え…?」



そう言った。



「私は…っ秀兄と絢芽ちゃんが一緒に居ることを望んでいるの!そのためにその本を渡したわけじゃないのに…!」

「いや、知世ちゃん、そういう意味じゃ…」

「じゃあ、どういう意味よ…っ?!」



兄を想う、妹。
その兄妹愛は、本当に美しく、綺麗な形だ。

知世ちゃんのおかげで、今私はここにいるのだけれど。





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