あの時とこれからの日常
「へー。なんかいいですね、そういう出逢い。…立花先生は?」

呼ばれてしるふの透き通った瞳が、園田を捕える

「ん、私?」

「はい。ずっと聞きたかったんですよ、その指輪の贈り主の話」

その、としるふの右手を指さす

「ああ…、これ?」

勤務中は首に、退勤してからはちゃんと指にはまっていることを

隣り合ったロッカーを使っている園田は知っている

シンプルなデザインだけれど、よく見ると趣向が凝らしてあって

値がそこそこにはる物だろうと簡単に予想できた

「単なるペアリングって感じじゃないですよね。ちゃんと立花先生用って感じがします」

少しだけうらやましいな、なんて思ったこともある

「あー、…園ちゃんさ」

瞳を見合わせたしるふと莉彩

言いにくそうに口を開いたのは、しるふだ

「なんですか?」

「あのー、私の彼氏、誰だか言ってなかったっけ」

「聞いてないですよー。ずっと聞きたくてうずうずしてましたもん」

さすがに勤務中に話題にするわけにもいかないし

出来ればゆっくりと話を聞きたかったから
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