あの時とこれからの日常
本当勘だけはいいやつだ

「最近機嫌悪かったしな」

海斗の手が、背後からシーツの上に投げ出されたしるふのそれを包み込む

途端に絡まる指先

観念したように小さい息が聞こえる

「……海斗ってさ、不安になったりすることある」

暗闇のおかげだろうか

胸につかえた思いは、意外とすんなりと口をついて出てきてくれた

「不安ね」

「そう、不安。付き合って3年、最近ときめきはなくなるし、いつのまにか恋が惰性に成り代わってるかもしれない。そのうち違う好きな人ができて別れるかもしれない」

「それで最近機嫌が悪かったわけか」

「別に機嫌悪かったわけじゃないし」

眠る海斗の背にため息ならついたが

「俗にいうマンネリ化ってやつを心配してるんだろう。よく飯田に愚痴ってるもんな」

「別に本気で不安になったりなんてしてないんだからね」

ただ海斗はそんなことがあるのかなって疑問に思っただけで

あー、はいはい

相変わらずの意地っ張りに心の中だけで頷く

しるふ相手ならその小さな不安もいらだちもきちんと向き合っていこうと思っているのに

それが面倒だとは微塵も思いはしないのに
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