あの時とこれからの日常
もう一度つまみを回してその音色に耳を傾けていたしるふが、

「ねえ、海斗」

首だけを回して海斗を振り返る

「なんだ」

向けられた漆黒の瞳ににっこりとほほ笑みかける

「そういう見えにくいところで大切にしてくれるところ、結構好きだよ」

しるふの言葉に、海斗がふ、と瞳を閉じて口だけで笑う

部屋に響くのは、しるふの大好きな曲

「知ってる。その微妙に不器用なところもな」

海斗の返答に微笑んだ後、しるふがパタパタと海斗に近寄ってきて、その腕の中にダイブする

ぎゅっと回した腕に力を込めた後にこだまするするのは、二人分の笑い声

海斗の背に回されたしるふの左手と

しるふの頭に添えられた海斗のそれには

同じ小さな輝きが宿っていた
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