あの時とこれからの日常
同じ姓になってから早いもので2年

独身時代には殺風景だったマンションの部屋も、今ではクリスマスツリーやお雛様

ベビーベッドに子供用の積み木などなど

とても生活感あふれる物になった

一番変わったことと言えば、無音に近かったあの頃など遠い記憶のように

祈や10月に生まれたばかりの次女・朝灯(あさひ)の声が響いていることだろうか

おちおち家で仕事なんぞ出来はしない、と書斎でパソコンをしていると決まってドアを叩く祈を前に痛感した

これにはしるふも苦笑もので、海斗がなんとも言えない顔で祈を抱いてリビングに行くたびに

「祈は海斗が大好きだからね」

とフォローらしきものが入る

それと同時に子供の成長とは、恐ろしく速いものだと常々思う

二、三日家を空けただけで祈は新しい言葉を覚え、朝灯は笑う様になり、

それを見逃さないようにしていかなければな、と思う回数が増えた

海斗が家にいない時間を、それを見ているしるふが補うのも、祈たちが寝静まった夜の定番だ

ほんの少しの二人だけの時間

大概、しるふが「祈がね…」とか「今日、朝灯が…」と話をして海斗が相槌を打って過ぎていく

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