あの時とこれからの日常
交替でガーゼとか変えたりしないといけない、か

ああ、こういう患者に対してホント思い入れのあるところ大好きなんだけどな

でも、もう少し二人でいられる時間を作ってほしい

明らかに落胆した雰囲気ときっと本人も気が付いていない小さな吐息に

「明日なら早番だけど」

思わずそう言ってしまうのは、惚れた弱みか

「ホントですか!!」

でも、途端に嬉しそうに顔を輝かせるのだから仕方ない

「何か食べたいものとかあります?予約しておきます!!」

そう言われて思い出すのは、

「二丁目のイタリアン。こないだ行ってみたいって言ってたろう」

時計を確認して立ち上がると、ブラウンの瞳が真っ直ぐに海斗を見つめていた

「どうした」

本当無自覚なんだなあ、なんていう嘆きは、心の中だけだ

「いえ、なんでもないです」

ふるふると首を振った後、嬉しそうな笑顔とともにしるふも立ちあがる

「なあ、しるふ」

「はい!」

突然名前で呼ばないで下さい!!

振り返った海斗を前に一人早くなった鼓動を聞く
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