gardenquartz 小さな楽園

『これは、あくまでも俺の推測に過ぎないから、正直自信は無い。だから、その点だけは理解して欲しい。』

3人は頷いた。

修利は自分の言葉を確認するように譚始めた。


『恐らく、マーニーが生きているまで、アーサーは行動を共にしていた可能性が高い。
でも、さっきの放送でアーサーの名前が無かった。
この洞窟は見ての通りとてもじゃないけど岩を退かすのは無理。

とすると、やっぱり出入り口がもう1つあって、そこから出たと思う。
そして、恐らく、ジョナサンとコンタクトをとった筈。

このインカムは純正だと半径5kmが限界だとすると、当然本部との距離も5km内に居ると思うから…。』


俺は修利がこの短時間でこんなにも深く推測、分析、そして敵を見極める術も学校では見せなかった1面に驚いた。


碧木がつかさず修利に聞いた。
『何故、Twinsが純正のインカムだと思うの?』


修利はニヤリと意地悪っぽく笑うと答えた。
『奴等は道具になんて頼らない。それだけ、自分達の力を過信しているのさ…。
それに、恐ろしく自己分析を冷静に判断するけれど他の事には無頓着だから、道具は渡されたままだと思ったんだ。』


碧木は感心した表情を浮かべた。
キャットも感心して、口笛を吹いた。
修利は照れて、俺を見た。
俺はニヤリと笑った。


『みんなに真面目な話があるの。よく聞いて。和樹には先に言っておいたんだけど、もうゲームじゃなくなっているの。
これからは実弾を使うことになる。
アーサーはマーニーよりも冷酷で、感情は皆無。
ジョナサンに言われた命令を淡々とこなすロボットと思っていい。
キャット。実弾を持ってるわね。私も出すから、出してちょうだい。』


キャットは舌をペロッと出した。
碧木には実弾を持っていることは
とっくにバレていた。


キャットはバッグ、ベルトの内側、ブーツの中、そしてブーツのかかとに小型の銃をバラバラと出した。

俺と修利は口をあんぐり開けた…。
全身に武器を隠しているキャット。


碧木もバッグ、腰のベルト、ブーツの中から実弾を出した。


すると、修利が静かに言った。
『俺は実弾は使わない。』


俺達は驚いて、修利を見た。


『アイツに銃は通用するとは思えないからね。それに俺は接近戦が得意だから。これでいい。』

そう言って腰のベルトの鞘からオヤジのサバイバルナイフを取り出した。

『ホントにいいの?』
キャットが聞いた。


修利は笑って答えた。
『アァ。要らない。』


すると、碧木が小さな5センチ位の銀の筒を修利の手のひらに乗せながら言った。

『これだけは渡しておくわ。使い方は分かるわね?!』

修利は渡された銀の筒を見て返事をした。
『アァ。分かる。』


碧木達の行動を森の暗がりから見ていた人影がじっと見つめていた…。









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