キミの空になりたい


私は辺りを見回してみた。


もしかしたら、綾美ちゃんが来ているんじゃないかって。


だけど、彼女の姿はどこにもなかった。



四葉台高校の夏は終わってしまった……。


3年生は部活を引退になる。


部内恋愛禁止のルールから、くるみは解放される。


きっと、上原君に告白するだろう。



同じように、涌井君も綾美ちゃんに告げるはず。


昨日、確かに彼はそう言ったから。


ああ……。


わかってはいたけれど、一気に喪失感が押し寄せて来た。



涌井君との距離が少しだけ縮まった気がしていたのに、それはほんの一瞬の出来事だったんだ。


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