キミの空になりたい


引退してまだ間もないというのに、すでに放課後の体育館が恋しくなっている。


ラケット振りたいー!って思いながら、いつも体育館のそばを通って校門を出て行くんだ。



今、うちの学校で3年生が残っている部は野球部しかない。


7月から甲子園への出場をかけた地方大会が始まる。


私の前に座っている新垣 くるみ(あらがき くるみ)は野球部のマネージャー。


毎日毎日、選手と一緒に汗を流して頑張っている。



「新垣ー。答案取りに来いー」


「あ、はいはいっ!」



私のほうを向いていたくるみは、自分の番に気づかなくて先生に呼ばれてしまった。


慌てて返事をして、答案を取りに行く。



「よかったー。補習授業はまぬがれたわー」



ホッとしたような顔でくるみは戻ってきた。


< 3 / 341 >

この作品をシェア

pagetop